シャンカラ「ヴィヴェーカ・チューダーマニ」の用語解説(星雲社「識別の宝玉」より転載)

 

 

 ア行

阿閑如来(アシュク如来)  密教において東の方角を守る如来。

あなたはそれである     ウパニシャッドの結論。人間の本質であるアートマンはブラフマンと異ならない。。

在りて在るもの       主はすべてに遍満し、過去、現在、未来に渡って存在し続ける。

祈り            祈りを祈ることは人間の本質であり、それは人生の目的である。

受け身として生きる     主の意思のままに、一切の欲望を捨てて生きること。

内なるアートマン      我々の内に存在する、本来の自分自身。

アヴァターラ        主の化身。人間の姿をとった主の顕現。

アーヴアラナ・シャクティ  タマスが持つ、対象の本質を覆い隠す力。

アヴィヤクタ        未顕現。全ての物的存在の根源。または祈りによって顕される現証。

アーガーミ・カルマ     現世でこれから現れるカルマ、又はこれから蓄積されるカルマ。

アサット          非実在。永遠には存在せず、たえず変化するもの。

アサット・カルパ      アサットに準じるもの。

アーシュラマ        男子ヒンドゥー教徒が通過する人生の段階。

アディヤーサ        対象の上に、迷いゆえに別のものを見ること。

アドヴアイタ        不二一元論。

アートマン         人間の本体。客体化できない認識の主体。

アーナンダ         至福、最高の喜び。ブラフマンの本質の一つ。

アーナンダマヤ・コーシャ  五つのコーシャ(鞘) のうち、最も内側にあるもの。原因の身体に等しい。

 

アハム           「私」自分という意識。

アバンカーラ        自我意識。「私は」という、自分にとらわれた思い。

アルジュナ         パーンダヴア五兄弟の一人。クリシュナからギーターを説かれる。

アンナマヤ・コーシャ    五つのコーシャのうち、最外側にあるもの。肉体のこと。粗大な身体に等しい。

イエス・キリスト      キリスト教の始祖。

ヴアイラーギヤ       離欲、無執着。

ヴアーサナー        前世での想念行為の結果、心の中に潜在化した欲望。

ヴァルナ          カースト制度のこと。

ヴィヴエーカ        識別。真実と真実でないものを見極めること。

ヴィヴエーカーナンダ    ラーマクリシュナの高弟。西欧社会にヴエーダーンタを広めた。ヴィカルパ 変転性。変化、区別、多              様性、差異、散乱など。

ヴィクシェーパ・シャクティ ラジャスが持つ、対象の上に別のものを投影する力。

ヴィジュニヤーナ      ジュニヤーナによって獲得できる真実の理解。

ヴィジュニヤーナマヤ・コーシャ 五つのコーシャのうち、外から四番目のもの。

ヴィシュヌ         至上主クリシュナの完全拡張体。宇宙を維持する神。

ヴィチャーラ        探求、熟慮。対象の真の姿を見極めること。

ヴエーダ          天啓聖典。聖仙達が霊感によって受け取った教え。

ヴューダーンタ       ヴエーダの結論部。ウパニシャッドのこと。

ウパーサナ         ある対象を強く念じて、それと自分を同置すること。祈りに等しい。

ウパーディ         ある存在に属性を与えて、それを制限するもの。

ウパニシャッド       導師の側に座して学ぶ聖なる教え。

ウパラティ         外的対象から心を引き離すこと。

ヴリッティ         想念の波。心の働きを意味する。

 

カ行

 

解放(ムクティ)      輪廻の束縛から解放されること

僧和合           導師である堀田和成氏が主宰される、正道を学ぶ会。

神と個人          信仰は神と個人の間にあるもので、団体はそれを促進し、手助けするために存在するに過ぎない。

神の国           ブラフマンの世界。人の魂がここまで至ると輪廻しなくなる。

解脱(モークシャ)     人間の魂がカルマを解消して、ブラフマンの世界に戻ること。

原因の身体         人間を構成する三つの身体のうち、最も内側にあるもの。

原因の原因         ブラフマン (主) のこと。

行為器官          発声器官、手、足、排泄器官、生殖器官の五つを指す。

行為の中の無行為      自分という思いを持たずに行為すること。

高次プラクリティ      低次プラクリティに覆われたアートマンのこと。サーンキヤでのプルシャに等しい。

心(マナス、またはチッタ) 内的器官のうち、様々なことを思う場所。

心(マナス、またはチッタ) 内的器官のうち、様々なことを思う場所。

クリシュナ意識       クリシュナを信じる人が持つべき意識。。

クリタ・ユガ        四ユガのうち、最初の時代。

ケーヴアラ         唯一なるもの。アートマンを悟った者のこと。

コーシャ (鞘)      アートマンを覆う層。五つ存在する。

心は出家、身体は在家    社会的義務を果たしながら、それらに執着しない生き方。

この世に生まれるという束縛(バヴア・パンダ) カルマの清算の為に物質界に生まれざるを得ないこと。

根源的無知        「始まり無き無明」に等しい。アートマンをジーヴアの状態に落とした無知。

カリ・ユガ         四ユガのうち、最後で最悪の時代。現代に相当する。

カイヴァリヤ       「唯一なるもの」の境地

カーラ           主が支配する「時」の車輪

カルマ           自己本位な想念行為、及びその結果としての習慣性を持つ心の傾向。または祭式のこと。

カルマ・ヨーガ       主の為に行為して主につながる道。

グナ            人間を縛る精神的要素。サットヴア、ラジャス、タマスの三種ある。

クリシュナ・ヴァースデーヴア 至上主。宇宙の最高神。約五千年前に北インドに誕生した。

 

サ行

 

最高智(プラジュニヤーナ) 内なる主より流れくる神の叡智。最高のアートマン(パラマートマー) 至上主のこと。
              主を悟った魂もこう呼ばれる。

祭祀、布施、苦行      人間が為すべき三つの行為。

三戒            心と言葉、思いの三つを正す行。

至高のアートマン(パラートマー) 最高のアートマンに等しい。

自身(スヴアヤム)     自分自身。我々の本質のこと。アートマンに等しい。

釈尊            仏教の始祖。

神寵            神を信じることで与えられる、反動を伴わない幸福。神理 絶対的な、神の言葉。

神理            絶対的な、神の言葉

生死老病          肉体を持つ人間の宿命。

聖霊            地上を維持し、善良な魂を導く天使群。

全託            主にすべてを捧げて、主の意思に従って生きること。

全なるアートマン      全ての生き物の根底にある共通の意識。主の別名でもある。

粗大な身体         人間を構成する三つの身体のうち、最も外側にある身体。肉体のこと。

サヴィカルパ・サマーディ  主との完全合一に至らず、心が止滅していないサマーディ。

サグナ・ブラフマン     属性を持つブラフマン。神の代理者のこと。

サッチダーナンダ      サット、チット、アーナンダの合成語。ブラフマンの本質を表す。

サット           実在。永遠に存在するもの。ブラフマンの本質の一つ。

サットヴァ         純質、善性。サットの性質を持つもの。

粗大な要素         眼に見える、地、水、火、風、空という五つの要素。

主             宇宙目撃同神。クリシュナ・ヴアースデーヴアを指す。

正道            太古より連綿と続く人間の歩むべき道。

サットサンガ        聖者との人格的交流。

サティヤ          真実。

サナータナ・ダルマ     永遠の宗教。インド古来から伝わる、人類共通の、普遍的な教え。サマーダーナ 自分を放棄して神に              委ねること。

サマーディ         最高の平安の境地。

サーンキヤ         聖仙カビラが説いた、物質と精神を識別し、主に献身奉仕する道。現代では哲学一般を指す。

サンカルパ         思念。方向性を持った思い。

サンサーラ         輪廻転生。マーヤーに惑わされて、生まれ変わりを繰り返すこと。

サンスカーラ        行為と経験によって心に刻まれた印象。

サンチタ・カルマ      転生の過程で積み重ねられたカルマ。

ジーヴア          個別化した魂。ブラフマンから分離し、サンサーラを経験している魂。

シヴァ神          宇宙を破壊する神。ブラフマー神の額から生まれた。信者に祝福と解脱を授ける。

ジーヴアン・ムクタ     生きている間に解脱した魂。

ジーヴアン・ムクティ    ジーヴアン・ムクタになること。

シャマ           心の制御

シャンカラ         不二一元論を説いた聖者。

ジュニヤーナ        知識。無明を晴らす智慧。

ジュニヤーナ・ヨーガ    ジュニヤーナによって主を悟る道。

シュラヴァナ        聖典の教えを受け取ること。

シュラツダー        信仰、信頼、帰依。

スヴァ・ダルマ       自分に定められた義務

 

タ行

 

大陰は市に隠る 聖者は社会の中で生きても、心はそれに染まらない。

大欲は無欲に等しい 神を求める思いが強いと、世俗の欲望は消えてしまう。

知覚器官 眼、耳、鼻、舌、皮膚の五つ。

超行為 自己本位の思いを全く持たずに行為すること。

低次プラクリティ 主の低次の本性。二十四の原理のこと。

弟子 導師に教えを請う者。

天国 善行者が住む世界。功徳を消費すると地上に生まれてくる。

同一視 何かを自分(アートマン)と見なすこと。

導師(グル) 弟子を導く聖者。

導師の体験 ブラフマンを悟った聖者は、その体験のすべてが神理となる。

ダマ 器官の制御。

タマス 暗質、翳質。無知に支配された性質。

チッタ 記憶を司る心の機能、または心全般を指す。

チット ブラフマンの本質の一つで、智慧、意識などを指す。

ティティクシャー 忍耐。

ディヤーナ 瞑想。ある対象を思い、それに集中すること。

デーヒン 身体を持つもの。三つの身体に蔽われた人間を指す。

 

ナ行

 

内的器官 心、ブツディ、アバンカーラ、チツタという四つの機能を持つ精神的要素。

ナーラーヤナ 原初の海の上に横たわるヴイシュヌ神。この方の臍からブラフマー神が誕生した。

ニヴリッティ この世的物質活動から離れて、精神の完成を目指す生き方。

ニディディヤーサナ 瞑想。たえずアートマンに専念すること。

ニルヴァーナ 涅槃。心が止滅した状態

ニルヴィカルパ・サマーディ 「私」という思いが完全に消滅したサマーディ

ニルグナ・ブラフマン 属性を持たないブラフマン。主の身体から発する大光明

 

ハ行

 

始まり無き無明 人間の発生と同時に生まれた無知

反省・悔悟・祈り 人間が向上する三つのステップ

万物は心の所変 目の前の現象は心の表れである。

非アートマン アートマン以外の全て

微細な身体 目に見えない、地、水、風、火、空の五つの要素、これらから粗大な要素が形成される

人は生かされ、生きている 人間は主に生かされている存在である

人を見ず、神を見る 人の心の動きに心を揺らさず、その背後におられて、それらを生かす主のみを見る行法

不変異 正道の根本原理。主はただおひとりだが、同時に多様な姿になって存在される。

梵我一如 ブラフマンとアートマンが一つになった境地。

バガヴアット・ギーター 至上主クリシュナがアルジュナに説いた最高聖典。

バーガヴァタ・プラーナ 聖仙ヴイヤーサが語った至上主クリシュナの降誕の物語。

バクティ 信愛。たえず主を想い、主に仕えること。

バクティ・ヨーガ 主を想うことで自分の思いを正し、主とつながる道。

パンチーカラナ 微細な要素から粗大な要素ができる過程。

ブツディ 理性、知性。前世と今生で獲得した善悪の判断基準。

ブツディ・ヨーガ 理性を磨き、内在知の協力を得て主につながる道。

プラクリティ 物質原理、根本原質。全ての物的存在の原因。ブラフマンの物質的顕れ。

プラーナマヤ・コーシャ 五つのコーシャのうち、外から二番目のもの。

ブラフマー神 宇宙の創造神。ブラフマンの人格化。

ブラーフマナ ブラフマー神に協力する者。

ブラフマン 宇宙における最高の精神原理。主の身体から発する大光明。ここから全てが生まれた。

ブラフマンの性質

プラヴリッティ この世的活動に従事する道

プラーラブダ 前世で作られたカルマのうち、今生での自分を形成するに至ったもの。

プリヤ、モーダ、プラモーダ 外的なものからもたらされる、三段階からなる喜び。

プルシャ 精神原理。人間の霊魂。主を最高のプルシャと呼ぶ。

ボーダ 智慧、悟り、意識。

 

マ行

 

見て見ない、聞いて聞かない、語って語らない アートマンを悟る道、または、アートマンを悟った境地。

観られる対象(ドリシャ) 他の存在によって認識されるもの。

観る者(ドリク) 他の存在を認識するもの。観る者と観られる対象の関係は、アートマンの認識に重要である。

無知(アジュニヤーナ) 正しいことが不明なこと。

六つの美徳 シャマ、ダマ、ウパラティ、ティティクシャー、シュラツダー、サマーダーナの六つ。

無明(アヴィディヤー) 無知(アジュニヤーナ)と同じ。

無欲 サットヴアの最高の姿。明知(ヴィディヤー) 知識(ジュニヤーナ)と同じ。

目撃者(サークシー) アートマンのこと。

マナナ 神理の言葉をたえず思い、その意味を理解すること。

マヌ法典 人類の始祖マヌが記した人間の歩むべき道。

マノーマヤ・コーシャ 五つのコーシャのうち、外から三番目のもの。

マバーヴアーキヤ ウパニシャッドにおける偉大な宣言。

マハト・タツトヴア 全ての物質的存在の原因。

マハーバーラタ 聖仙ヴイヤーサが記した、約五千年前にインドで勃発した戦争を記す物語。この中にバガヴアット・ギーターが含まれる。

マーヤー あらゆるものを創造し、人を迷わせる、主が持つ、主固有の力。

マントラ 導師から弟子に伝えられる秘密の言葉。

ミティヤー 仮相。ムムクシュター自身の解放を強く望むこと。

モーゼ ユダヤの民をエジプトから解放して、主から十戒を受け取った聖者。

 

ヤ行

 

ヨーガ 主に自分を結び付けること。

ヨーガ・スートラ パタンジャリが説いたヨーガの教え。

ヨーガの主(ヨーガ・イーシュヴアラ) クリシュナの別称。

ヨーガの七段階 ヨーガ完成への道。

ヨギーヨーガを実践する者。

 

ラ行

 

楽は求めず、苦は避けず この世での生き方を表す。天命に従って生きること。輪廻の関門 サットヴアの中段を指す。

霊子線 人間の魂と主を結ぶ霊的な糸。

ラーマクリシュナ バクティを説いたインドの聖者。

ラマナ・マハルシ ジュニヤーナを説いたインドの聖者。