自我の終焉


自我の終焉とは何のことでしょうか？　自我とは終焉するのでしょうか？　自我が終焉するとどうなるの

でしょうか？

ではこの私、即ち自我、「魂と繋がる私」を覆い尽くしている自我とは一体何でしょうか？


自我とは「私は肉体であり、自分は他人とは別の存在であり、私と別に世界は存在しており、私は生まれ

そして死亡し、私の内面と私が見ている外部世界は別々だ。私は世界とは異なっている、私は自分の力で

人生を生きている」、「あいつは良いがこいつは悪い」と敵と味方を区別し、善悪を識別し、思考と感情に

振り回されて、自我である自分を正しく認識していない記憶」の事です。即ちこの「魂と繋がる私の表面意識」

を覆う「潜在意識の記憶」のことです。自我とは記憶の反応なのに自分は自我ではなくて「魂と繋がる私」

であると思い込んで、その記憶の反応である自我には「魂と繋がる私」は知覚認識できないのに「私は神の

子で魂である」と嘯き、自身を偽っている高慢無知なこの現在意識の私の事です。


自我それは記憶、私という観念の記憶なのではないでしょうか。それは私の中に有りしかも私ではないもの。

私の潜在意識にあって魂と繋がる未発達で未熟な私をコントロールしているもの。

それではこの自我は何故私ではない、私自身ではないといえるのかと言えば、それは自我が終焉した方々

から自我が終焉しても魂と繋がる私は生きており実在していると教えられているからであります。

素晴らしい見本があるのです。



従って自我とは魂と繋がる私自身、所謂未知なる私ではなくて、現在の意識の私やあなた、そして全人類

を覆い尽くしている私という観念でありその記憶である・・と定義できそうであります。


ここで大きな問題が有ります。実際には私は悟っていないし、自我が終焉していないので、従って私には

話す資格はないのに話せるのか？ということです。しかし間違っている観念もしれないけれども推測する

ことは出来るのです。


では推測してみましょう。


さて自我が終焉している人の意識はどういう特徴があるのでしょうか？所謂悟った人の状態とは？とい

う意味です。



自我が終焉した方々は次の様に話しています･･･「見るものは見られるものであります」と、「主体は客体

であります」「あなたは私なのです」「私は世界です」と

ここは勿論理解は出来ませんし、推測すらも非常に難しいのでかなりな思索を要求されますが・・・

「見るものは見られるものである」・・・それは記憶が記憶を知覚していると言うことであり、私という観念が

私という観念のことを知覚認識しているという事でありましょう。

「見るものは見られるものである」からです。

殺戮と戦争、不安と恐怖そして虐殺を見ているものはその同じ恐怖であり自我なのです。自我が自我を

見て観察しているのです。

自我がないときそれらはないのです。「見るものは見られるものである」からです。



それは記憶が記憶を知覚し認識していると言うことであり、記憶が無いとき、私という観念も無く、従って

記憶が無い状態のステイトには戦争はそこには無いことでありましょう。

自我が終焉しているとき、そこに完璧な平和が、何者にも侵されない平和があると言うことであります。

自我がないとき世界は自我が見ている世界とは全く異なっているのでありましょう、何故なら争いと分

離を齎す私がいないからです。見られている世界は見る者であるからです。

見る者に最早自我がないとき、そこには「魂と繋がる私」があり、その中には戦争が存在していないのです。

混乱と戦争のただ中にあっても、その自我の存在していない人には静寂と平和と愛が溢れ放射し

世界に平和を齎らすことでありましょう。




私達通常の人類の知覚とは記憶の知覚ですので、自我が終焉した知覚と認識とは全く異なっております。

同じ人間でも住んでいる世界が全く異なっているのです。

ですからその悟った方の知覚とは、まずはじめに、人類の通常の知覚ではないと言うことです。

自我が終焉している人の見ている世界は、自我の見ている競争と戦争と殺戮の世界ではないのです。



ではその記憶が祓われ清まっている知覚とはどうなっているのでしょうか？


それは私達を覆い尽くしている記憶即ち私という観念とはどういう知覚を齎しているのか？を逆に調べると

よりハッキリとしてきます。


それはその私という観念である記憶とは何かを調べることで分かります。

その特徴は分割していないものを、分割することであり、分離できない一体であるものを分離分割して

知覚しています。ですから自我丸出しの私でもその自我による知覚が終焉した状態を少しだけ推測するこ

とが出来ます。それは私という殻が無い状態の特徴のことです。表面意識という鏡から記憶が祓われ

ている意識状態のことであり、その魂の私の見ている、内部と外部の分離のない世界のことでもあります。



【自我が終焉している方々の特徴】


①内部と外部の区別は存在していません。世界は私の内側にあります。私の中に世界が有ります。

　私とは肉体ではなく、現在のパーソナリティーでもなく、現在のパーソナリティーは魂に帰還したのです。

　世界で起こっている事はすべて私の内側にあり、私の責任です。テロも飢餓も戦争も私の責任です。


②私とあなたの区別はありません。私とあなたの分離・分割という自我の知覚がそこにはないのです。

　自我というあなたとは別の私が存在していないので、私はあなたであり、あなたは私です。あなたの苦し

　みは私の苦しみなのです。そして魂に帰還したその目には全ての人に神を見ている事でありましょう。

　何故なら自我が終焉しているとき、その目とは本来の私である神の子という魂の目であり、その神の子

　である魂は「個にして全体」「全てが神」、時間と空間という認識形式に縛られていないからであります。

　時間と場所を超越しているのです。


③肉体と同一視している記憶という自我が最早存在していないので、万物はあるがままにあります。

　万物一切の中に私はいます、そして私の中に万物があります。私は拡大しており、私は世界なのです。


④記憶である私という観念の特徴は恐怖、不安、憎悪、プライド、自己関心、善悪・敵味方の識別、支配欲

　増上慢、競争、動機、目的、計画、そしてそれら結果である殺戮や戦争、などでありますが、それらが

　消滅することにより、本来そこにあった静寂、平和、愛、悦びなどが溢れ、世界を照らす光が輝き溢れ

　ていることでありましょう。現在のパーソナリティーが魂と繋がる私に戻ったのです。


⑤この段階に至った場合、サイコノエティック体は再形成されているので、自身は地球を越えて拡大し

　同時にあらゆるところに存在し、同時に複数のあらゆる出来事を知覚することでありましょう。

　時間空間という私という観念・自我の認識形式が消滅したからです。自我がないとき、あらゆるところに

　あらゆる時に、過去現在未来を超えて、時間空間の制約を超えて、個人の制約を超えて同時に多くの場所に

　存在している事でありましょう。


⑥遠隔治療、テレパシー、テレポテーション、分身、霊的癒やしの能力など、高度の身体がもつ能力を

　発揮して、それらを使用することが出来ている事でありましょう。


⑦肉体との同一視から解放された、自我の殻を打ち破った意識の最大の特徴は、万物とのコミニケーション

　即ち、万物との同調、アチューメント、万物との一体感であり人間だけではなく生命あるもの、さらに生命

　のないものとさえ会話が可能となっている・・ことでありましょう。



しかし、これらのことは脳による操作で起こるコントロールや、脳の条件付けの解除による変性意識状態

とは全く異なっています。それらは薬物や機器によっても、似たような体験をもたらされますが、脳と結合

したサイコノエティック体という現在のパーソナリティーの状態の変革ではないので、その一時的に高揚され

拡張された意識は、時間の経過と共に元の現在のパーソナリティーのサイコノエティック体の状態に戻され、

その体験によって自我は更に自我を強化してしまうことになります。その疑似体験はサイコノエティック体

を傷つけてしまうことになることでありましょう。


そのような潜在意識による体験や、薬物若しくは科学的機器による体験や思考投射などによる一時的な

体験では、それを記憶している自我がそこには未だに存在しているのです。

何故ならば経験や体験を体験している観察者が未だそこにはいるからなのです。

体験者、経験者、観察者という記憶・自我がそこには残っているのです。

決して自我は終焉していないのです。

自我の終焉はそれらの巧妙な自我による方法では齎されないのです。