心に沸き起こる想念
今日は心に起こる想念についてのお話を伺いに、また先輩宅にお邪魔してし
まいました。
久保栄治:お早うございます、いつも色々と相談してすいませんね
先輩:いやいやいつでも大丈夫だから、気楽に遊びに来て下さい。
久保栄治:今日来たのは、私達の日常生活の中で、心の中に沸き起こって
いる。不安や怒りや欲望などの想念について、先輩の意見をき
きたいとおもってお邪魔した次第です。
先輩:そうですか・・・心の中に沸き起こってくる想念ですか・・
心の中を観察して見ると分かりますが、ある出来事が起こり、そして
その出来事に対して、表面意識の知覚よりも、それに対する想念の方
が一瞬早く心の中に沸き起こっていることに気が付くでしょうか?
そして、その後にその想念に対しての私達の知覚が発生しています。
久保栄治:う~ん、そうですね、そう言われてみれば、そうですよね。ある生じた
内部や外部の出来事に対応して生じている怒りや欲望は、自分がその
怒りや欲望に気が付く前に、心の中に起こっていますし、それらへの
知覚は一瞬遅れて知覚し、認識していますよね。
先輩:ある情況や出来事がきっかけとなって起こる怒りや心配・不安・欲望やイライラ
は、自分の知覚よりも一瞬早く起こっており、その欲望や怒りに対して、自分がコ
ントロールすることが難しいのは、その怒りや欲望やイライラの方が自分の知覚
より一瞬早く起こっている事がその理由です。
起こっている出来事に対しての自分の現在意識の反応よりも、潜在意識にある記
憶の反応の方が素早く反応しているのです。そして私達はその記憶の反応と一体
化しているので、自分が怒り、嫉妬し、思考し、欲望しているのだと思ってしまうのです。
久保栄治:それでは、私達はその怒りや暴力心や競争心や高慢心に対して知覚している
だけなのだが それらと一体化しているので、その一体化から解放されない限
りはどうしようも出来ないと言うことでしょうか?
先輩:勿論そうです。
久保さん達の未熟で、未形成の現在意識の状態とは、目が開いていないので、その
起こっていることに対して反応している記憶にはどうすることも出来ない事でしょう。
・・本当に残念ですけれども・・
しかしながら、その知覚している、心の中で起こっている怒りなどの想念に対する久
保栄治さんの態度こそが久保さん達、霊魂と繋がる現在のパーソナリティーの責任
なのですよ。
久保栄治:え・・それはどういうことですか?
先輩:①まず最初に・・運命やプログラムや縁起によって内部と外部に出来事が起こります。
好きになったり、結婚したり、事故に遭ったり、会社を辞めたり、病気になったり
出逢ったり、失敗したり、成功したり、親子になったり、別れたりすることです。
↓
②これに対して即座に潜在意識にある「記憶からの想念・人格」が条件反応します。
潜在意識から怒り、不安、憎悪、暴力、軽蔑、恐怖、高慢、自尊心、イライラ、評価
競争心、支配欲、拡大欲、逃避、善悪、判断、好悪、失敗、成功、能力、貧富 行為
健康、病気などなど、記憶である「私・自我」が直ちに起こり反応します。
↓
③それを、その想念を現在のパーソナリティーは自分の想念だと実感してしまいます。
というのも、現在のパーソナリティーはその記憶の反応に一瞬遅れて知覚するから
です。そして自分はその記憶・思考・欲望なのだと間違って実感してしまうのです。
霊魂と繋がる未熟な現在のパーソナリティーは、記憶と同一化してしまっているので
「記憶が知覚するように知覚してしまっている」ことに気が付かないで、「自分が起こっ
ていることに反応しているのだ」と思い込んでいます。実際には起こっている事に反応
しているのは記憶であり、自分は記憶と同一化していることに気が付かないのです。
これは出来事に対して潜在意識にある『記憶という「人格」』が起こしている反応なのに
、『霊魂に繋がっているけれども目が開いていない「現在のパーソナリティー」』
が、その「記憶の反応」のことを自分自身だと錯覚してしまっているからなのです。
少々複雑ですが分かりますか?
久保栄治:通常、私達はその起こっている事に巻き込まれておりますし、それに対して潜在意識
から起こっている記憶の反応と全く同一化して、出来事に反応している想念を自分自身の
想念や欲望だと実感しまっていますよね。それは潜在意識の記憶からの反応である
のに、自分が怒っており、自分が憎んでおり、自分が嫉妬して、自分が不安であると、
誰もがそう 思っていて信じて疑いません。
それは夢の中での自分とはその起こっている夢の中の私、即ち潜在意識にある記憶
(人格)なのに、夢を見ている現在のパーソナリティーは、夢の中の自分は記憶の反応
であるのに、その夢の中の私を自分自身だと信じて疑わない・・・と言うことですね。
先輩:そうです。久保さんだけではなくて、人類はその起こっている出来事に対して、同一化していて
いるだけではなくて・・そして起こっている出来事に即応している記憶を自分だと信じています。
心の中に沸き起こっている想念に、「自分が知覚している、私は良くなろう、自分を変えよう・・と
努力したりしている」のは記憶です。その私は久保さんではなくて久保さんを覆っている記憶なのです。
私とは記憶ですし、更にその記憶から逃避し、批評し、変えようとしているものも記憶なのです。
その心の中に起こっている疑念や高慢心や憎悪は久保さんの潜在意識の中から起こっている
記憶・人格であって、久保栄治さん自身では決してありません。あなたが如何に未発達であっても
魂と繋がっている「現在のパーソナリティー」なのですから。それらの記憶からの想念・私では決
してありません。
久保栄治さんの「記憶・人格」は霊魂と繋がっている久保栄治さん自体ではないのです。それは
「霊魂と繋がる久保さんの本体」を覆っている想念であり、思考であり、潜在意識にある記憶の
反応なのです。
久保さんの本体は鏡です、万物であり、透明で空である意識・鏡なのですよ!
久保栄治:では先輩は、縁起によって起こることに対して心の中に沸き起こっている不安や恐怖や怒
りや猜疑心は私達自身のものではなくて、潜在意識の中にある記憶から起こっているも
のだと言っているのですか?
先輩:勿論ですよ。私を含め久保さん達は目が覚めていないので、心が拡がっておらず、頭脳で
受信された想念だけを知覚して、それに対して同一化し、そして想念から逃避しようとして
色々と試行錯誤を始めるわけですが、残念ながらその想念からの解放は起こらないわけです。
不安や葛藤から逃げたい、解放されたいと願っているのが、その不安や葛藤だからです。
現在のパーソナリティーがその想念に対して感謝して、愛することをしていないからです。
逆にその想念と同一化して、その想念に支配されており、その想念を通じて子供と接したり、
上司や部下と仕事をしたり、自分の記憶の想念を他人の鏡に映して記憶を見ているわけです。
久保さんはその記憶からの想念に支配されて奴隷になっていて決して自由ではないのです。
久保さんは記憶という思考の奴隷であって、自由ではないことに気が付いていないのです。
久保栄治:う~ん。難しいですね・・・では先輩ならそこをどのように対処していますか?
先輩:心の中に沸き起こっていることに対して、まずそれにレッテルを貼ったり、好き嫌いをしたり
良い悪いを言ったり、逃げたりしないで、逆に、愛して、感謝して、抱きしめることです。
久保栄治:え~!!!、心の中にある羨望や不安や恐怖や競争心に感謝して抱きしめるのですか?
先輩:私だったら、そうしますよ。何故ならば、それらの心に起こっている想念は、自分の中にある
想念であり、自分と関係のないものではないからです。私が生み出したのですから私の責任です。
それは、自分の放蕩息子や、どうしようもない飲んだくれの親のようなものなのですから
自分とは切っても切れないのですよ。ですからその自分の心の中に沸き起こる想念を退けた
り、非難したり、憎んだりしないで、その想念の私・人格のことを自分の愛する子供のように、
子供の話すことに耳を傾け、理解してあげて、じ~っと一緒に苦しんであげることなのです。
久保栄治:うーん・・難しいことだな・・。
先輩:自分の想念に耳をかたむけ、その苦しみと、その怒りと悲惨と恐怖や不安と一緒にいてあげて一緒に
苦しみを味わってあげることなのです・・・それが苦しんでいる子供や妻や夫、そして親を愛する、理解
すると言うことであり、記憶を愛するということではありませんか?
久保栄治:すなわち、自分自身を愛することと言うことでしょうかね?
先輩:そうです。まずはじめに愛するのは自分です。自分の中に去来するその想念(人格)を愛することが
出来なければ、どうして他の人を愛することが出来るのでしょうか?愛することで愛が与えられ
るのです。自分を許し、自分に感謝して愛することがはじめの一歩です。自分を愛せない人は他人を
愛しているつもりでもそれは利用しているだけです。ですからまずはじめの第一歩として、自分を許し
愛すること。自分を許すことで許されるのです。
自分の心の中に沸き起こってくるそれら記憶の反応から逃避せず、その恐怖や怒りや自尊心や暴力
や利己心を退けたり、判断や評価をしないで、彼らの言うことに耳を傾け、一緒にいてあげることです。
記憶を愛することです。「記憶という汝の敵」を愛することです。
それが自分を愛することのはじめの一歩であり、妻や夫や子供を愛することが出来る人間に
成るために、はじめなければならないスタートなのです。それが想念や人格から解放されるために
必要なことなのです。許されるためには自分を許すことであり、愛が与えられるにはまずはじめに
自分に感謝して無条件に愛することです。愛や感謝は取引では無いからです。許しと愛と感謝こそ
があなただからなのです。
冷たく自分を観察するのでは無くて、自分を愛してあげることなのです。
「冷たく自分を観察している記憶」を愛することです。
久保栄治:なるほど、言われてみればそう思いますよ。今日はいろいろと相談してすいませんでした。
また宜しくご指導下さい。
先輩:気楽に何時でも来て下さいね。久保栄治さんの潜在意識・インナーチャイルドにいる記憶を愛して
浄めてあげてくださいね、苦しんでいるその記憶を愛して解放させてあげて下さいね。
あなたは「この思考の私」ではなく、記憶でもなく、身体でもなく、空であり、無限に拡がっている意識、
万物を包含している意識であるからです。
久保栄治:有り難うございました。