あなたの私


ミルダッドは

「あなたの私は未だに私という産着に包まれている」のでその産着を脱ぎ捨てなさいと言っている。

これを正しく理解するのは到底無理だとしても、あらゆる理性と人類には計ることの出来ない知性・想像力

を働かせてみたい。

わたしはミルダッドのこの「あなた」、「あなたの私」という言葉を以下のように区分して考えている。

あなた・・「万物が私であり、私が万物である私」。恩寵によりこの「あなた」が「あなたの私」と繋がったとき

     それみずからが「I AM」であると証明される。

あなたの私・・このあなたから現象界に下降し、思考と行為が起こっている脳に結合され、自らを脳で起こり受

        信している思考や行為であると錯覚し、間違った反応を繰り返しているわたし。コーザル体を経由して

        真のあなたと繋がっている未形成のサイコノエティック体である現在のパーソナリティーのこと。

        多くのエレメンタル、間違った想念形態を生み出し続けている形成途中の私。

あなたの私を包んでいる私・・・脳に起こっている行為であり、思考である私、夢を見ている私、死後も生き残り

       思考と行為が生み出した人格・個人という機械的に反応を繰り返している自己自我であるロボットの私のこと。


まずここでミルダッドが言うあなたとは「万物である私」のことであり、日常での人間が実感しているこの私の事で

はないので非常なる注意が必要であることだろう。


「あなたの私」が未だに私と言う産着に包まれていて目が覚めていない状態では「あなた」も意識され

ず、知覚もされず、顕現もしていないので、この私達の現状では「あなた」はまったく認識されていない

ので、「あなたである私」は未だ存在していない状態であるから、ラマナ・マハリシの「私は誰か」に答える

事は出来ないといえようか。



そしてこの「あなたの」とは「形成途中の神」であり、あなたと言われている真の私から生じていて

派生してきている「未形成の神の子」、若しくは眠ったまま輪廻を繰り返している私のことだろう。

これを専門用語では「永遠で全体である私」にコーザル原子で繋がっている未形成のサイコノエティッ

ク体と言っている。だが悲しいかな私達の夢を見ても分かるように、私達はこの「夢という記憶の反応

の中で夢を見ていること自体に気が付かない」のは、この「あなたの私」は未だ目が覚めていないと言

うことであろう。この「あなたの私」である私は、「あなたである私」に繋がっているのに繋がっていること

を意識出来ないでいるということなのであろう。何故意識出来ないのかは、ミルダッドの言うように、「あ

なたの私」が包まれている「私という産着」を脱ぎ捨てていないからなのであろうか。


そして最後の「私という産着」とはこの現在の人格、個人、思考の記憶の結果であるこの私自身のこと。

自分は肉体であり起こっている行為を自分が為していると信じ、起こっている思考と感情を自分が思考し

ていると実感しているロボット、操り人形のこの私自身のことである。「あなたの私」がこのロボットと自分

を同一化してしまっているのである。


この「あなたの私」を包んでいる産着の私とはお馴染みの私であり、朝には目が覚めて新聞を読んで、テレ

ビを見て、仕事に取りかかる私の事、成長し、あるときは才能に恵まれ、あるときは不運に巡り逢い、失敗し

成功し、恋愛し、結婚し病気になり死ぬ日常の自己意識の私の事だろう、この「私という産着」の私とは、肉体

の死後も生き続けるが輪廻転生している「あなたの私」ではない。完全に肉体と脳が眠っているときにも意識

が眠ることなく継続している意識こそ「あなたの私」の目覚めた意識の状態であると言われている。


この産着の私とは輪廻転生している「あなたの私」が、受肉の際その都度に新たなる肉体と結合した結果、

その「あなたの私」が脳を通じて受けとった起こっている思考や感情や行為の記憶体のことであり、その「あ

なたの私」がその起こっている思考や行為や感情に対して反応した結果であり「あなたの私」が生み出した

想念形態エレメンタルでもある。それ故にその「産着の私」とは、「あなたの私」に責任があるのだろう。


この「私という産着」の私は肉体の死後もあの世で生き続けるけれど、「あなたの私」が再び受肉する為に「あ

なた」に戻るときに、「あなたの私」にそのエッセンスは引き継がれ、「私という産着」は大きな地球を取り巻い

ているといわれている潜在意識という想念帯のプールの中で、再び「あなたの私」が新たなる肉体に宿るときま

で待機することになる。そして「あなたの私」が再誕したその新しい肉体にカルマと共に「ワサナ」「サムスカーラ」

「エレメンタル」等と言われている「過去世の人格」の一つとして数珠の様に「あなたの私」に繋がることになるの

だろうか。