異なる目が必要





ミルダッドは私達が自身と世界を正しく見るためには、この目ではない

異なる目が必要だと言っている。


いまこれを書いている私とは思考の目であり、しかも低レベルの思考の目

であり、それは又心の目である「自他に分離している私」の目であって、ミルダ

ッドが言う正しい目ではないと思う。そして又この私達の現在の意識とは

低次思考の意識であり、その意識とは「自他に分離している私の目」であり、

その「思考の目」では正しく自分自身を見ることができないと言われている。



その目とは自他に分離していて常に必ず哀しみと苦しみと恐怖であるこ

とだろう。

この目に映っている自分も他人も「分離した自己・私」というこの目自身

の姿であって、自己本位と愛のなさ、そして自尊心、競争心、嫉妬心、恐

怖と支配欲、暴力がその実体であることだろう。

しかしながらこの正しく見ることの出来ない自我の私さえも、その奥には

「未知なる思考を超えた私」があり、この私達である「思考の目」を支えて

いてくださっているのであろう。

この思考の目には内なる本当の自分自身を正しく見ることはできない

従って、この「正しく見ることの出来ない目」が見ている自己自身及び他者

の姿とは常に分離と哀しみと恐怖であり、わたしやあなたの「自我の私」

であることだろう。自我の私だからこそ自我の私を見ているわけである。

内奥の真我の目であるなら、全てに神を見ていることだろうか?


ここでミルダッドは私達は私達自身を正しく見る為に、この肉体の頭脳に

よる目ではなく、新たに開いた目、新しい超知覚の目がまず必要だと言っ

ている。


この既存の思考の目はいくら高度に進化してスーパー人工知能のように

なっても、また最高の哲学者や天才であっても、新たなる超知覚の目が

開かれない限りは、常に自他の分離という苦しみがあり、愛のなさがあり、

そして、その低次思考には如何なる高次の教えを伝えられても決して理

解することは出来ないと言っているのではないのかと思われる。





以下は紹介するミルダッドの言葉です

「あなたがたの眼は、あまりにも多くのヴェールで覆われている。

あなたがたが見るものはことごとくヴェールでしか
ない。


 というのも事物は、いかなる形、いかなる種類のものだろうと、
〈生命〉がくるまれている産着、〈生命〉が覆われているヴェールに過
ぎないからだ。

それ自身ヴェールであり産着であるあなたがたの

眼が、どうしてヴェールと産着以外のところにあな

たを導けようか?


眼はヴェールをかけることはできても、ヴェールを

貫くことはできない。



眼と唇のどちらにも、それ以上のことを要求してはならない。それ
が、身体の労働にあって眼と唇が分担する部分であり、眼と唇はそ
の仕事をよくこなしている。
ヴェールで覆い封印を施すことで眼と唇は、あなたに、ヴェールの
背後にあるものを探し求め、封印の下にあるものを見つけ出す
ようはっきりと呼びかけている



ヴェールを貫くためには、旋毛とまぶたと眉で駱った眼とは
異なる眼が必要だ。

もし事物を正しく見たいのならば、まず眼それ自

身を正しく見るようにしなさい。



眼を超えたあらゆる事物を見るためには、眼で見るのではなく
眼を通して見なければならない。



もし正しく語りたいのならば、まず唇と舌のことを正しく語りなさい。
唇と舌を超えたあらゆる事物を語るためには、唇と舌で語るのでは
なく、唇と舌を通して語らなければならない。

 
正しく見つめ、正しく語ることのみにいそしめば

あなたは自分自身のみを見、自分自身の

みを語るだろう。



なぜならばあなた-

見る者、語る者としてのあなたは、
あらゆる言葉の中にあり、
あらゆる言葉を超えてあるのと同じように、

あらゆる事物の中にあり、

あらゆる事物を超えてあるからだ。



 もしそうだとすれば、あなたの世界が錯綜した謎なのは、あなた
自身が錯綜した謎であるからに他ならない。
あなたの語りが嘆かわしい迷宮なのは、あなた自身が嘆かわしい
迷宮であるからに他ならない。


事物を放っておきなさい。事物を変えようと心を
砕かないようにしなさい。



なぜならば、事物が見えるがままに見えるのは、あなたが見える
がままに見えるに過ぎないからだ。

あなたが事物に視力と語りを貸与しないかぎり、事物は見たり語
ったりしない。
事物が耳障りに聞こえるときには、自分の舌だけを注視しなさい。
事物が醜く見えるときには、自分の眼だけを探究しなさい。




事物にヴェールを脱ぐよう要求してはならない。
自らのヴェールを脱ぎなさい、

そうすれば
事物がヴェールを脱ぐだろう。


事物に封印を破るよう要求してはならない。
自らの封印を解きなさい。
そうすればあらゆるものが封印を解かれるだろう。


自己のヴェールを脱ぎ、自己の封印を解く鍵は、あなたがたが
唇の間に永遠に押しとどめている言葉がある。
それは、あらゆる言葉の中で、最も取るに足らない言葉であり、
最も偉大な言葉である。ミルダッドは、それを〈創造の言葉〉と呼ぶ。」