尽十方界真実人体
この言葉は曹洞宗の開祖道元の有名な珠玉の言葉です。
この言葉の意味とは
この肉体は生老病死で表されるように、生まれそして滅していても、この肉体
とは全く以て私のものではなくて源泉のもの、源泉が呼吸して生きておられる
ということ。
真の私の人体とはこの肉体や精妙体ではなくて十方世界そのもの、十方世界
に拡がっていると言うのです。
真の本当の人体とは全宇宙に拡がって遍く存在している生命そのものであり、
その大生命がいきている、その全宇宙というあらゆる次元の十方世界に拡がっ
ているのが真実の人体なのである・・ということでありましょうか。
それはこの私やあなたという人間の人体だけではなくてあらゆる万物も同じ
であり、私もあなたもそれぞれが根源の人体、神の人体でもある。
真実の私とは根源と異ならず、その真の私の人体は宇宙に拡がっているのだ・・
・・・ということなのでしょうか。(私の勝手な解釈です・・念のため)
世の中には数多くの宗教があれども、真実への洞察は言語や地域や文化に
よって異なっている様に思われていても
また、それぞれの見地からの、それぞれの表現は異なっていても到達点は同じ
であり、全く同じ事を言っているのだろうと思われます。
ただしその実相を語る言葉は想念や思考では全く理解出来ないために言葉で
表現されても必ず「私という観念である思考」では間違って捉えてしまいます。
その思考では理解できない真実、事実を述べている言葉・・
それがこの道元の「尽十方界真実人体」であり、「I AM THAT I AM」であり
「全ては全てに在る」であり、「汝はそれなり」であり、「見るものは見られるものである」
のだと思われます。
そしてこの言葉を私なりに推測するには、あらゆる世界、あらゆる階層・次元界の
全ての段階の人間を含む全生物や万物は、全く同じ根源の人体である・・ということ
なのでありましょうか。善人も悪人も同じく神が生きていると言うことでありましょう。
全ての中に全てが在るということでしょうか。
あらゆる万物とは神の身体であり、神が呼吸をして生きているのだということでしょう。
呼吸をしているのは神なのだと。
この道元の見地は現在の物理学や生理学、生物学が到達した最新科学の発
見と全く同じ見解であり、私達が自分の肉体だと思っている、この肉体の細胞とは
全ての人の肉体は勿論のこと、あらゆる生き物や無生物や物質も全く同じ素粒子に
よって形成され生きられており、私達が自分のものだと思っているこの肉体や頭脳
とは、全くもって自分のものではなくて、宇宙のあらゆる万物は同じ構造であり、この
万物とは宇宙に拡がって生きておられる「真実の人体」であり、万物は根源によって
生じ、その根源がそれぞれの万物としてそして人体として生きておられ、自他として
生きているものである
ということでありましょうか。
この事はまた同時に意識に関しても全く同じで、命あるものも、命がないものも
あらゆる万物が根源によって生じているマインド・こころ・私自己意識によって生き
られ、生きておられており、指紋や静脈紋や顔の表情の差を見て分かるとおり、そ
れぞれがそれぞれとして創られ生きられており、その生きられているもの自身は
自分が生きているのだと、自分は他者と異なって生きているのだと意識しているの
だけれども、事実とは決してそうではなくて、肉体も含めその意識や知覚や認識や
記憶もその自分が生きていると思っている「私」のものではなく、その「自我・私」さ
えも「自我・私」のものではなくて、それは根源からのマインド・私・思考であり、「自
我・私」とはそのマインドを使われている神によって生きられているものだと思われ
ます。
この事を平たく言えば「私が生きているのではなくて神が生きておられる」という
事になるのではないかと思います。
本当の事実は私だけではなくて全ての人は神が生きておられる。
と言うことでしょうか。善人も悪人も神が生きておられると言うことなのでしょう。
このことは人体という外部、外側の事柄だけではなく、内面内側に関しても同じであり
最新脳生理学で徐々に解明されてきているように心と物質は別々のものではなくて
思考とはより精妙なる物質であり、しかもその思考物質は色々と段階やレベルが
あり、根源がその心マインドという物質を使っていろんな私として演じておられるので
はないのかということであります。神が自我として私として生きておられるのでしょう。
神が善人として悪人として生きておられるのではないでしょうか。
肉体は無論のこと、精妙身体や個別的霊魂や霊魂も、肉体は私の肉体ではないの
と同じく
この精妙身体とは私の精妙身体でもなく、個別的霊魂も私の個別的霊魂でもなく、
霊魂とは私の霊魂でもなく、それらの全ては根源のものであり、根源がそれらとし
て生きておられるのではないでしょうか。根源が私として生きておられる・・・。
この自我・私として生きておられるのは、マインドによって生じている私・自己ではなくて
根源なのであり、その根源がマインド心を使用して、私として、自我として、悩み、苦し
み、恐れ、肉体と同一化して、輪廻転生して生きておられるのではないのかと・・
私もあなたも、善人も悪人も自分が生きていると思っているけれども、真実は神が生
きておられる。何故ならこの自我・私には実際には行為することも、思考を発生させる
ことも健康になることも病気になることも、生きることも死ぬことも出来ないからだと思
われます。
故に十方世界の万物尽くは事実として神の人体であるということを道元は言っている
のではないか、それが「尽十方界真実人体」なのではないか
・・・と推測する次第です。