知識とは理解ではない

知識とは理解ではない。

本で学んだ知識や、覚者からの言葉などの記憶とは理解ではなく、誤解である。
それは思考なのだ。それは理解ではなくて記憶なのだ。

私達が知っている真理とは、真実の真理とは全く異なっている単なる概念・思考に過ぎないのだ。

その知識でしかない「言葉の記憶」が指し示しているものとは、まったくもって真理ではない。私達がその真理の言葉を記憶するとき、それはマインド次元の領域の事柄となってしまうからだ。

その真理の言葉は聖者が話しているとき、その聖者とは個人ではなく真理そのものとなっており、その真理が直に話しているので、従ってその言葉も真理なのである。
その真理が言葉を通じて発出されているのであって、その言語や教えや言葉が真理なのではない。

けれども私達が本や情報として記憶して、鸚鵡返しに、さも自分の言葉のようにその聖者の言葉を語っていても、それは決して真理ではない。中身がないからだ。

何故と言えば同じように語っている私達自身が真理ではなくマインドであるからだ。記憶であるからだ。テープが真理を語ってもそれは決して真理ではないとおなじだ。

私達が語る真理・・それは記憶の領域にあり、マインドに汚染されているので単なる言葉なのだ。それは決して真理ではない。従って私達が真理を語るとき真理を冒涜しているのだ。

私達自身が二元分離であり、葛藤と苦しみそのものであり、その恐怖と不安と悲しみが私達自身であり記憶であるのに、、何故二元分離を超えている状態を知ることが出来るのだろうか？私達は嘘をついているのである。
他と分離している心である以上はその心の次元を超えた「見るものは見られるものである」の次元を決して知ることはないのである。
私達はそれゆえに二元分離の観念や概念しか知れないのだ。思考はそれ以上を知ることはないのである。
心である私達とはマインドであるが故にマインドしか知ることはないのである。
従ってマインドではない主客非分離の真理とは、マインドでは理解できない。私が脱落し、身心が脱落し、マインドが終焉したとき、初めからそこにそれが在るのだといつも言わている。道元の言う身心脱落、そして自己が脱落した身心のことである。

私達・人類が真理や神を信仰していると思っているその信仰の中身とは果たしてなんだろうか？

神や真理を信仰しているのだろうか？それともエゴが自分を信仰しているのだろうか？その神への信仰とはエゴが拡大して神のようになりたいという自身の欲望なのではないだろうか？

世に言う信仰とは真理に対する信仰ではなくて自分の利益を信仰しているのではないか？世に言う神の信仰とは自我への信仰がその中身であることは明白だ。神を信仰しているのではなくエゴを信仰しているのだ。信仰している私がエゴだからだ。

私達人類は神や真理を信仰していないのだ。決して信じていない。
私達人類は神を求めておらず､神を信仰していないのである。
真理とは利用し、利用されることはない。利用し利用されようとしているものは
神ではなく真理でもない。権威であるものや、権威を崇うことは「愛」・ハートから遠ざかることである。自他の分離を知覚しているものがどうして神と言えようか？マインドから自由ならしめ、自らを法灯とすることが道であるのに、束縛させるものがどうして自由なるものといえようか。
従って私達人類は実際には神ではなく自我の欲望を信仰しているのだ。

此処が大事だ
私達は神を信仰し、信じていると思っているだけで
実際は神や真理を信じることは出来ないし信じていないのだ
自分で自分を騙しており自分は神を信じていると思考しているだけなのだ。

その理由は私達マインドとは神や真理を知らないからである。
このマインドとは真理を知ることはない。真理ではないからだ。
全託していないのに全託していると嘘をついている、それは私達がマインドだからだ。それ故に全託することがないのである。
私達マインドが終焉したときそこに真理がはじめからあると教えられている。

私達がラマナ・マハリシなどを学んで
「行為は起きている」、「神が行為している」と思っていても
決してそれを信じているのではない。
よく観察すればすぐ分かるが信じていると自分で思い込んでいるだけだ。
自分で自分を騙しているのだ。
私達にとってはその真理の言葉とは、単なる観念であり、知識であり、教えであり、記憶なのだ。
その認識とは実際の「神が行為している」「行為は起きている」の認識ではないし、その理解でもない。また、それに対しての信仰でもない。信じていないからなのだ。
それは「行為は起こっている」「神が行為している」との
単なる言葉のコピーの羅列であり、そのことの知識であり、言葉の記憶であり、全く持って実際の知覚ではない。従って私たちは理解していない。信じていない。

私達マインドとは理解もなく、信仰もないのに
聖者などの本を読んだ知識でもって「私は行為していない・神が行為している」と“自分はそのことを信じているのだ”、“自分はそのことを理解しているのだ”と自己を欺いている。
私達はそれら聖者の言葉を思考で記憶し、曲解し、錯覚しているだけで決して理解しているのでもなく信じているわけでもない。

実際には私達は利益と判断とエゴイズムに充ちた心でもって
私はその真理を知っている・・・・と、「自分は真理を知っている」と・・そう思い込んでいるに過ぎない

私たちの内面の実態は「行為は起きている」との非マインドの知覚ではなく記憶だけなので
本当のことをいうと
「自分が行為している」と思い、
「自分は肉体であって、自分が行為している」とその様に実感しているので
ある。それが私達が信じている事柄なのだ。
従って
全く持って、その真理を知ってはいないのである
真理は記憶や思考や知覚の領域にはない
自己意識が記憶であり、思考であり、私という観念である以上
自己を偽っているのだ。

そこに
自己矛盾
自己欺瞞がある。
その自己欺瞞こそ
自己を見ていないという厳然とした証拠であるにもかかわらず
クリシュナムルティーの本を読んで「私は自己観察している」と錯覚し
私は記憶ではなく純粋意識なのだと
自分を偽っているのが私達・思考の記憶だ。

この自己欺瞞こそ私達人類の実際の姿であり

今日の宗教戦争とテロの原因ではないだろうか。